食品を扱う出店の募集要項には、「食品営業許可を取得していること」という条件が書かれていることがあります。この許可には種類があり、出店の形によって取るものが違います。
食品の営業許可は、都道府県・保健所設置市ごとに運用が違います。名称や有効期間、提供できるメニューの範囲も自治体によって差があります。この記事は、愛知県と県内の保健所設置市が公開している案内をもとにした整理です。扱う食品・調理方法・営業形態によって必要な許可や届出は異なるため、実際に取るときは、出店する場所を管轄する保健所に必ず確認してください。
愛知県で関係する営業の区分
愛知県内で屋外や催しで食品を提供する場合、関係する区分はおおむね次の3つです。
1. 自動車営業:キッチンカー
車両に調理設備を積んで販売するなら、自動車による営業許可です。車両そのものが営業施設として審査され、施設基準を満たす必要があります。岡崎市の案内では、申請時に車検証の写しの提出が必要とされています。
給水タンクの容量によって、扱える調理の範囲が段階的に定められている自治体があります。車の設備で出せるメニューが変わるので、車両を用意する前に管轄の保健所に相談してください。
2. 露店営業:テントや屋台での調理
愛知県衣浦東部保健所の案内では、露店営業は「屋外において食品の調理、販売及び製造する営業形態」で、食品営業許可(飲食店営業と菓子製造業)が必要とされています。岡崎市も「固定式の店舗を持たず、移動式のテント等で営業を行う場合、露店営業許可が必要」としています。
露店で取り扱える品目は制限されています。衣浦東部保健所の案内では、露店で扱える品目は別表のものに限られ、原則として1店舗につき1品目、生もの(乳類、食肉、鮮魚介類)の販売は禁止とされています。原材料の下処理は施設で行わず、営業許可を取得した施設等を利用することも求められています。品目の一覧は保健所ごとに公開されているので、出したいメニューが含まれるかを確認してください。
3. 臨時営業・短期営業:催しのときだけの営業
岡崎市の案内では、「催事等に際して営業施設を設け、臨時的に短期間同一場所で営業を行う場合、臨時営業又は短期営業の許可が必要」で、品目や調理工程により許可の種類が異なるとされています。豊田市も、イベントなどで臨時営業・短期営業を取得する場合は保健衛生課に問い合わせるよう案内しています。
行事での食品提供については、岡崎市は「飲食イベント届の提出、従事者の検便の実施」を求めています。こうした届出の名称や要否は自治体によって違います。
愛知県内での許可の有効範囲
出店者が気にするのは、「取った許可が、出店先の市でも使えるのか」です。愛知県内については、県と保健所設置市の案内で次のように示されています。
- 愛知県衣浦東部保健所の露店営業の案内:「愛知県内の他の保健所長(名古屋市、豊橋市、岡崎市、豊田市も含む。)の許可を受けている営業者については、改めて許可を要しません。(愛知県外の許可は改めて許可が必要です。)」
- 豊田市の自動車営業の案内:「愛知県内(豊田市以外)で既に営業許可を取得した自動車については、豊田市内においても営業することができます。」
- 一宮市「イベント時の食品の提供について」:露店営業・自動車営業について、愛知県・名古屋市・豊橋市・岡崎市・豊田市・一宮市が発行した許可証を確認対象としています
愛知県内で取得した自動車営業・露店営業の許可は、県または県内の保健所設置市(名古屋市・豊橋市・岡崎市・豊田市・一宮市)のどこで取得したものでも、県内の他の地域で改めて許可を取らずに営業できる扱いになっています。愛知県外で取得した許可は、改めて愛知県内で許可が必要です。
ただし、この扱いは自動車営業と露店営業についての案内です。臨時営業・短期営業は、催しの会場ごとに手続きが必要になります。出店先の市の保健所に、自分の許可で出店できるかを確認してください。
どれが必要かは、食品と提供方法で変わる
「作るのはどこか」「その場で加熱や盛り付けをするか」「包装したまま渡すか」によって、必要な許可や届出は変わります。会場で調理しない販売でも、手続きが不要とは限りません。次のような整理はあくまで考え方で、個別の判断は保健所に確認してください。
| 出店の形 | 考え方 |
|---|---|
| キッチンカーで調理して売る | 自動車営業の許可 |
| テント・屋台でその場で調理して売る | 露店営業の許可。品目の制限がある |
| 催しの会場に施設を設けて短期間営業する | 臨時営業または短期営業の許可 |
| 会場で調理せず、別の場所で製造した食品や仕入れた食品を販売する | 一宮市の案内では、この場合でも営業届が必要な場合があるとされています。調理しないから手続き不要とは限らず、保健所に確認 |
| 参加者が自分で作って食べるワークショップ | 営業にあたるかどうかを含めて保健所に確認 |
食品以外の出店に関係する法令
ハンドメイド作品や雑貨、衣類などの物販には、食品衛生法の許可は関係しません。次のような場合は、別の法令が関係します。
- 中古品を売る:中古品を仕入れて販売するなど、古物営業法の古物営業に該当する場合は古物商許可が必要です。自分の不用品を売る場合は該当しません
- お酒を扱う:祭り会場でビールなどをコップに注ぎ、その場で飲用に供する場合は、酒類販売業免許は必要ありません。一方、未開封の缶やびんなどを持ち帰り用として販売する場合は、酒類販売業免許が必要です。催事で一時的に販売する場合は、期限付酒類小売業免許の対象となります(一定の条件を満たす場合は、届出による取扱いがあります)。根拠は国税庁「販売業免許関係 Q9」です。手続きは所轄の税務署に確認してください
- 手作りの化粧品や石けんを化粧品として売る:医薬品医療機器等法の製造販売業の許可が関係します
- 火を使う:多くの市町村の火災予防条例で、祭礼・縁日・展示会など不特定多数が集まる催しで火気器具を使う露店等には、消防署への開設届と消火器の設置が求められています。名古屋市の案内では、火災予防条例第69条にもとづき「業務用消火器を露店等ごとに1本以上設置」とされています。主催者がまとめて届け出る場合もあるので、要項や主催者に確認してください
取得にかかる時間
営業許可は、申請と施設の検査を経て交付されます。申請から交付までの日数は保健所によって違うので、余裕を見てください。当サイトの集計では、行政イベントの募集期間の中央値は21日です。募集を見てから許可を取り始めると間に合わないことがあります。
保健所への事前相談
保健所は、営業許可について事前相談を受け付けています。車両や設備を用意する前に、図面や写真、メニュー案を持って相談すると、基準に合わない設備を作り直す事態を避けられます。要項で許可証の提出を求める主催者がありますが、許可の範囲内のメニューかどうかは出店者の責任です。
参考にした公式情報:愛知県衣浦東部保健所「露店営業を行うにあたって」、豊田市「食品営業許可の新規申請の手続き」、岡崎市「食品営業許可」、一宮市「イベント時の食品の提供について」、名古屋市消防局「露店等の開設届」、国税庁「販売業免許関係 Q9」および「期限付酒類小売業免許について」(いずれも2026年9月時点で公開されている案内)。制度は変わることがあるため、最新の情報は各保健所・消防署で確認してください。
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