当社(合同会社セキレイ)はイベントを主催しています。イベントを開く中で、来場者から見たキッチンカーの価値観が変わってきているように感じます。この記事では、主催する側から見たその変化と、今の会場で売れているキッチンカーに共通することを書きます。

「キッチンカーが来ます」がコンテンツだった頃

キッチンカーが世に出始めた頃は、「キッチンカーが来ます」ということ自体がイベントのコンテンツになりました。まだ多くの方がキッチンカーで購入した経験がなく、キッチンカーでの購入体験そのものに価値があったからです。

今は、どこにでもいる

しかし今は、キッチンカーの数が当時より大きく増え、キッチンカーの出店募集情報も非常に多くあります。

キッチンカーは、まつりにも、公園にも、市役所の前にもいます。当サイトが掲載している全国の行政イベントの出店者募集573件(2026年10月23日時点)のうち、キッチンカーを募集しているものは 262件(46%) で、そのうち131件はキッチンカー だけ を募集しています。

さらに、そのうち 88件(34%) は、まつりやイベントではなく、市役所の前や公園、図書館、駅前などの 場所に出店する 募集でした。

  • 市役所本庁舎前ロータリーキッチンカー出店
  • 香芝市役所敷地内におけるキッチンカー等移動販売出店(奈良県)
  • 瀬戸市立図書館 キッチンカー等出店(愛知県)
  • 下諏訪町都市公園キッチンカー出店(長野県)

こうした募集で自治体が求めているのは、職員や来庁者の昼食や、公園の休憩所の売り場です。キッチンカーは「イベントで出会う珍しいもの」から、「日常の食事の選択肢の一つ」になりました。

会場で起きている変化

最近イベントを開いていると、以前と少し変化があるように感じます。

会場でごみを回収すると、スーパーで買ってきた弁当の容器が出てきます。ステージに出演する子どもが、弁当を持って来場することもあります。会場で食べ物を買わずに、比較的安く済ませられる昼食をとる人を見かけるようになりました。

実際に来場者の声を聞いてみると、次のような意見がありました。

キッチンカーは高くて、美味しくない

こうした意見には主観的な部分や店ごとの違いがあるにしても、少なくとも、このように感じている方がいるのは確かです。

キッチンカーは「食事の手段の一つ」になった

キッチンカーで買うことに体験としての価値を持たせるのは、今では難しくなりました。キッチンカーは、食事の手段の一つになったと言えます。

つまり、競合は同じ会場の飲食の出店者だけではありません。スーパーの弁当、近くの飲食店、家から持ってくる弁当など、あらゆる食事の手段が競合になります。

それでも売れているキッチンカー

以前と比べて売るのが難しくなったキッチンカーでも、イベントの出店者を見ていると、ちゃんと売れているキッチンカーがあるのも事実です。

売れているキッチンカーを見ていると、いくつかの共通点に気づきます。

  • 来場者にとって分かりやすい、なじみのある商品である
  • 人気のある商品である
  • 季節に合っている
  • 多くの商品を扱わず、店構えがごちゃごちゃしていない

反対に、売れにくい出店者にも共通点があります。

  • 来場者が一目で分からない商品を売っている
  • 何を扱っているのか、目の前まで行かないと分からない
  • キッチンカーの見た目が悪い

品目を増やすほど、何屋か分からなくなる

もう一つ、売上を落としているのが、品目の多さです。

あれもこれもと手を広げると、メニュー表やのぼり、看板が増えて、店構えがごちゃごちゃします。そうなると、遠くから見て何屋なのかが分かりません。来場者は、会場を歩きながら遠目で店を選んでいます。何屋か分からない店には近づいてもらえません。

品目を増やせば、いろいろな人に買ってもらえそうに思えます。実際には、多くの品目を扱うことで、かえって売上を落としているキッチンカーは多いと感じています。

あれもこれも扱っている店でハンバーグを頼むより、ハンバーグ専門店に行ったほうが「きっとおいしいハンバーグが食べられるだろう」と思う。これは来場者に限らず、お客さんの心理として自然なことだと思います。品目を絞ることは、店構えを分かりやすくするだけでなく、「この店はこれがおいしいはずだ」という期待にもつながります。

これはキッチンカーに限らず、テントの露店でも同じことがいえます。

これからのキッチンカーに求められること

キッチンカーが来れば良いという時代ではなくなった今、キッチンカーに求められているのは、一目で分かること だと考えています。

1. 何なのかがすぐ分かるものを売る

来場者が見た瞬間に味を想像できるものは売れます。新しいものを出すときも、「何の食べ物か」が一言で伝わる名前と写真にしてください。

2. 品目を絞る

看板になる商品を決めて、品目を絞ります。品目が少ないほど、店構えはすっきりし、何屋かが伝わります。仕込みや調理も速くなり、行列もさばきやすくなります。

3. 遠くから何屋か分かる店構えにする

のぼりや看板には、いちばん売りたい商品を大きく出します。会場の端から見て「あそこはクレープ屋だ」と分かるかどうかを、出店前に確かめてみてください。

まとめ

  • キッチンカーが出始めた頃は、キッチンカーで買うこと自体が体験で、イベントの目玉だった
  • 今では行政イベントの出店者募集の46%がキッチンカーを募集していて、キッチンカーは日常の食事の選択肢の一つになった
  • 会場では、弁当を持って来る来場者や、「キッチンカーは高くて、美味しくない」という声が出てきている。スーパーの弁当や持参の弁当まで、あらゆる食事の手段が競合になる
  • それでも、なじみがあって人気があり、季節に合った、何なのかがすぐ分かる商品は売れている
  • 品目を増やして店構えがごちゃごちゃすると、遠目で何屋か分からず、かえって売上を落とす。これは露店でも同じ

キッチンカーが来れば人が集まる時代は終わりました。これからは、一目で何屋か分かり、見た瞬間に「食べたい」と思ってもらえるキッチンカーが選ばれていくはずです。


この記事の数字は、当サイトが掲載している募集を2026年10月23日時点で集計したものです。当サイトは行政が関わる募集を集めているので、民間のイベントやフードフェスの傾向とは違う可能性があります。また、年ごとの件数は当サイトが集め始めた時期に左右されるため、年を追った増減は示していません。会場の様子と来場者の声、売れているキッチンカーの共通点は、当社が主催するイベントでのものです。

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