民間のマルシェには出ているが市や県のイベントは初めて、という方に向けて、募集を見つけてから当日までの流れを書きます。

この記事は、当サイトが掲載している愛知県の募集要項69件に書かれていることをもとにしています。選定に何日かかるかや翌年どう扱われるかなど、要項に書かれていないことは主催者によって違います。その部分は断定せずに「確認する」と書いています。

1. 募集要項を読む(申し込む前に)

行政イベントの募集には、多くの場合「募集要項」という文書が付いています。市のページの要約だけを見て申し込むと、あとで条件に合わないことが分かる場合があります。要項で確認しておきたいのは次の項目です。

  • 出店できる人の条件:市内に事業所があること、食品営業許可を持っていること、団体であること、など。当サイトの69件のうち、要項の応募条件に「市内」が出てくるものは19件、「優先」が出てくるものは10件ありました
  • 出店できるもの:飲食のみ、物販のみ、現地調理の可否、アルコールの可否、生き物や中古品の禁止
  • 1事業者あたりの枠数:「1事業者1台」「最大2区画」
  • 出店料と、その外にかかる費用:電源、道路使用料、市外料金(別記事「出店料の相場」)
  • 募集方式:先着、抽選、審査(別記事「先着・抽選・審査、募集方式ごとの申し込み方」)
  • 提出方法と提出先:次の項で書きます
  • 締切の時刻:「10月16日16時まで」のように、日だけでなく時刻が切られていることがある

要項の読み方は、別記事「募集要項の読み方:見落としやすい条件10個」でも書いています。

2. 申込書と添付書類をそろえる

申込書は、市のページからダウンロードする様式か、電子申請の入力画面です。添付を求められる書類は、イベントによって違いますが、だいたい次の中から数点です。

  • 許可証(「営業に際し許認可等を必要とする業種については許可証のご提出をお願いします」という記載の例があります)
  • 車検証の写し(「申請時に車検証の写しなどでサイズを明示」名古屋市 南区民まつり)
  • 車両や出店ブース、作品の写真(くらふとフェア蒲郡は作品と作業中の写真の添付を求めています)
  • スタッフ名簿、車両情報
  • PL保険の加入証の写し(要項で求められる場合)

営業許可は申請と検査を経て交付され、保険も申込から証券が届くまで時間がかかることがあります。当サイトの集計では募集期間の中央値は21日で、募集を見つけてから準備を始めると間に合わないことがあります。募集前から準備しておくと、短い募集期間にも対応しやすくなります。詳しくは別記事「許可」「PL保険」で書いています。

3. 申し込む

「行政は紙の様式を郵送か持参」というイメージがありますが、当サイトの掲載分では違いました。申込方法が書かれていた全国344件のうち、電子申請・申込フォームが133件(38.7%)で最多です。複数の方法を併記している要項が多いので、合計は100%を超えます。

申込方法件数割合
電子申請・フォーム13338.7
メール11633.7
郵送8725.3
FAX7622.1
持参・窓口13238.4
電話154.4

「あいち電子申請・届出システム」のような自治体の電子申請や、Google フォーム・LoGo フォームを使う募集が4割ある一方、持参・窓口も同じくらいあります。「フォームで申し込んで書類は郵送」という組み合わせも珍しくありません。要項に書かれた方法で出します。

締切は、要項に時刻まで書かれていることがあります。郵送なら必着か消印有効か、持参なら市役所の開庁時間に限られることに注意してください。締切後の受付は期待しないほうがよいでしょう。

提出したら控えを取っておきます。電子申請なら受付番号の画面、メールなら送信済みメール、郵送なら送った書類の写しです。受付の連絡が来るかどうかは主催者によります。

4. 選定結果を待つ

選定にかかる日数は要項にあまり書かれておらず、主催者によって違います。要項に「結果は○月○日頃に通知」と予定が書かれていればそれが目安です。書かれていなければ、締切からしばらく過ぎても連絡がないときに担当課へ問い合わせてよいと思います。

要項で確認しておくのは、次の2点です。

  • 抽選会への出席が必要か:第95回せともの祭の廉売市の募集ページには「抽選日 令和8年7月24日」「※必ず出席のこと」とあります
  • 落選の場合も通知されるか:一宮市の緑化フェアは「落選者にも通知あり」と明記しています。明記がない要項では、通知予定日を過ぎても連絡がなければ問い合わせます

5. 出店説明会

出店者説明会を開くイベントがあります。当サイトの掲載分では、「説明会で配付される申込書を提出」や「出店者説明会に参加できること(ご都合のつかない場合は随時相談を受け付けます)」(津島市 市民活動フェスタ)のように、説明会が手続きの一部になっている要項がありました。

説明会では、小間割りや搬入時刻、駐車場、ごみの出し方、火気や電源の扱いが説明されます。出席が求められている場合に欠席するなら、事前に連絡して資料を送ってもらいます。小さなイベントでは説明会がなく、書類一式が送られてくるだけのこともあります。

6. 出店料を払う

出店料の払い方は、要項か決定後の案内に書かれます。市が発行する納付書で払う方法、実行委員会の口座に振り込む方法、当日会場で現金で払う方法などがあります。申込時にオンライン決済する形は、当サイトの掲載分では見当たりませんでした。

納付書や振込には期限があり、遅れると出店取消になる可能性があります。中止の場合に出店料を返金しないと定めている要項もあります。返金の扱いは別記事「雨天中止のとき出店料はどうなるか」で書いています。

7. 当日

当日の段取りは、説明会や案内文書に書かれています。募集要項でよく確認する項目は次のとおりです。

  • 搬入・搬出の時刻(「搬入は午前7時30分以降に開始し、撤収は午後4時までに完了してください」瀬戸市 デジタルまつり)
  • ごみの扱い(「会場にゴミ箱の設置はありません。各出店者様でゴミを回収していただきます」蒲郡市 SEASIDELIVE)
  • 電源(「電源2口1.5kW」「1ブース2,000Wまで」「コンセント1つにつき別途2,000円」「発電機持込禁止」)
  • 水道の有無

搬入・搬出の注意は別記事「搬入・搬出で気をつけたいこと」に書きました。

8. 終わった後

出店は当日で終わりではありません。やることを、要項で求められることと、自分のためにやっておくことに分けます。

要項で求められていること

出店後の報告に関する記載がある募集は多くありません。社会実験の募集では活動報告が公開されている例があり(豊明市「ふらっととよあけ」)、名東の日・区民まつりの募集ページには「事業実施報告書」の記載があります。売上の報告やアンケートの提出が要項や決定後の案内に書かれていれば、期限内に出します。書かれていなければ出す義務はありません。

当日の終わりにやること

  • 撤収完了を本部に伝える。主催者が各区画の撤収を確認する場合、一言あると確認が早く済みます
  • 区画を確認する。ガムテープの跡、ペグの穴、油の跡、忘れ物
  • 担当者に挨拶する。市の担当課の職員や実行委員会の事務局と話す機会があれば名刺を渡しておく。翌年の担当かどうかは分かりませんが、連絡先が分かっていると問い合わせがしやすい

自分のために残しておくこと

翌年に同じイベントへ出るとき、この記録があるかないかで準備が変わります。売上、来場者の傾向、売れた品と売れなかった品、天候と中止判断がどう出たか、搬入の段取りと駐車場の位置、そして 今年の募集がいつ出て、いつ締め切られたか。当サイトの各イベントページに募集開始日は残していますが、自分の出店の記録は自分にしかありません。

翌年の募集に向けて

翌年の募集案内が前年の出店者に送られるかは主催者によります。掲載している要項に、前年出店者への案内について書いたものはありませんでした。案内が来ることを前提にせず、募集時期をカレンダーに入れ、公募の締切前に自分で申し込みます。開催の数か月前に担当課へ「今年も募集はありますか」と聞く方法もありますが、選考への働きかけと受け取られる言い方は避けます。

民間イベントとの違い、まとめ

行政イベント 民間マルシェ
募集の見つけやすさ 市のサイトの奥。募集期間の中央値21日 SNS・募集サイトで流れてくる
申込方法 電子申請が最多だが、持参・郵送・FAX 指定もある フォームが中心
添付書類 許可証・車検証・写真などを求める要項がある 主催者による
応募条件 市内事業者の条件・優先がある 主催者による
出店料 無料が38.5%、有料の中央値6,000円(出店料の調査) 主催者による
出店料の払い方 納付書・振込・当日現金 オンライン決済が多い
中止時の返金 返金しないと定める要項がある 主催者による

手続きの多くは「書類を先にそろえておく」「締切に気づく」の2つで対応できます。前者は今日から準備できますし、後者は当サイトが手伝います。

コラム一覧へ